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レビュー『ひとり3000万円稼ぐ会計事務所の作り方』

 

 

 

 

 

ひとり3000万円稼ぐ会計事務所の作り方』㈱実務経営サービス 税理士法人コスモス 鈴木成美

税理士法人コスモス(本店名古屋)は、他人の稼ぎに頼るような職員はひとりもおらず、資格の有無に関係なく、全員が自分の売上を伸ばすという強い意識を持っています。その結果、2019年度は売上は11.5億円(正社員換算38名)、一人当たり売上3000万円という生産性を実現しました。

組織の生産性を高めるためには、経営理念の確立、人材育成、新規開拓・開発、業務改善など、多角的な取り組みが必要ですが、税理士1人が頑張るような状況ではだめで、所長の右腕を育て、職員が経営者になり、主体的に仕事ができれば生産性も上がっていきます。

この仕事は地域の名だたる経営者からお話を伺い、その人生観や価値観に触れられ、大変な刺激になります。だから、コスモスの職員は、少なくとも1日に2社、週に10社は顧問先を訪問し、必ずお客様に会う決まりになっています。経験の浅い職員にとっては、経営者と踏み込んだ会話をするのは簡単なことではありません。しかし、数をこなしていけば会話のレベルも上がり、頼られるようになります。何十人もの部下を従える会社のトップから頼りにされて嬉しくない人はまずいませんし、それを誇りに思うはずです。誇りが持てれば、おのずと仕事に愛着も生まれます。自分の仕事に愛着が持てて初めて、人は全力を尽くせるのではないでしょうか。会計事務所のトップは、職員がお客様と会って何をしたかを聞いて、きちんと評価することが大切です。

職員の成長を促すには、まずは仕事を増やすことです。職員はそこで今までのやり方では仕事がこなせなくなります。働き方を見直し、やり方を工夫する必要がありますが、それが成長の機会になります。人が辞めてもすぐに増やさないようにしましょう。
つまり残った職員がカバーをして、また成長のチャンスになります。仕事を増やすと同時に、職場に適度な厳しさを持たせることも必要です。所長が厳しいことを言うように心がけ、さらに厳しいことを言えるリーダーを育てます。これは厳しいことを言わなければ本質が伝わらないからです。当たり障りの無いことばかりを言っていて、そのような職場で働いている職員が、事業承継の案件で経営者に厳しいことを言えるでしょうか。企業経営は本質的に厳しいものです。そのお客様を相手にしている私たちが、馴れ合い体質で甘いことを言っていたら相手にしてもらえません。

職員に意識改革を促すにあたり、所長にはまず「自分だけが主役の事務所」から「職員も主役の事務所」に変えるという覚悟を決めて、4つの問いと向き合います。
①事務所を永続させる強い意志があるか(顧問先にとって、職員にとって未来永久に拠り所となれるか
②職員に高い給料を払う気があるか(せっかく職員が成果を上げたのに懐が潤うのは所長だけでは一生懸命働きたくありません。)
権限を委譲する気持ちがあるか(職員が何かを判断する度に所長の許可を得ているようでは業務が滞り成長もしません。)
経営をオープンにできるか(成果給の計算の仕組み・各人別売上・経常利益をオープンに)

所長は改革を含めたビジョン、目的を職員に何度も伝えるべきです。人に思いを伝えるのは、池に雪を積もらせるようなもので、話した端からその効果は消えていきます。しかし、何日も降り続く雪がいつの間にか池を覆い隠すように、話し続けていれば、いつかは人の心に刻み込まれます。日本や会計事務所を取り巻く厳しい状況。その中で自分たちの事務所が力を付けて、地域とお客様に貢献して、職員全員が豊かに暮らしていけるように何をしなければいけないかを話しましょう。プロとしての誇りを持てる、成果を上げた人が報われる仕組みなのだということを前向きに伝えましょう。これらと並行して、リーダーにする職員の目星を付けておきます。ここでいうリーダーとは、単なる部下のまとめ役ではなく、意識改革や人材育成、事務所の成長を先導する「所長の右腕」です。リーダーには所長に近い権限が与えられ、部下が付き、役職手当も支給されます。グループリーダーであるグループ長の手当は月額3万〜15万円、それはリーダーがそれだけ特別な役割を担っているからで、役職手当で報酬をある程度保証することで、組織のために時間を割いても損をささないようにしています。

人材育成の中では、顧問先企業の発展を願い、仲間と共に道を切り開いていこうとする心(人間性)が最も大切です。そのために所長は、職業人としての考え方や、生き方を示すことが大切です。なぜなら、会計事務所においては所長は大黒柱であり、職員は皆、その姿をある種の指針として働いているからです。所長が仕事に対する姿勢をはっきりと打ち出せば、職員の意識をひとつの方向に束ねていけます。所長はまず、ひとりでもよいのでリーダーを育てます。対象となる職員と話す機会を意識して設け、会計人として働くことの意味について伝えます。お客様である中小企業経営者の置かれた厳しい状況や、会計業界の現状など、所長が悩み考えていることを率直に伝えるとよいと思います。所長とリーダーが想いを共有することは、事務所を発展させていくうえで極めて重要です。こうした意思疎通が、全職員に対する人間教育にもつながっていきます

2008年にコスモスと統合した三好税理士事務所の三好税理士。
「コスモスは日本で一番ハードな、激務の事務所だと聞いていました。そんなところと一緒になって大丈夫かと周りから心配されましたが、私は逆に考えていました。私がコスモスのように丁寧に事務所を見て人を育て成果に報いる取り組みをしていれば、優秀な人が辞めることはなかったのです。仕事ができる人は独立しようと思えばできますが、コスモスは定着率が高くほとんど人が辞めません。給与もとてもよいですが、お金だけではない何かがあると感じたことも、コスモスと経営統合を選んだ理由です。」

最後に人を動かすのは「やりがい」です。人はお金だけで動くわけではないもいう当たり前のことです。具体的には仕事を通じて、人や社会の役に立っていると実感できることです。お客様の会社の発展・存続に貢献することができた、事務所の発展に貢献できた、地域経済に貢献できた、だから自分は役に立っている。そう感じられるのがやりがいです。少子高齢化が進展するなか、中小企業はその数を急速に減らしています。このままでは、日本の将来が危うい状況です。しかし、私たちコスモスはさまざまな方法で経営者を支援し、中小企業の減少にブレーキをかけることができます。担当者として経営者を直接支援するのも大切なことですが、日本全体のことを考えると、一社でも多くの中小企業を支援しなければなりません。

  • user 内田
  • time 2023年10月7日
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レビュー『税理士のための業務効率化マニュアル』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「繁忙期」でもやりたいことを諦めない!税理士のための業務効率化マニュアル』井ノ上陽一 第一法規

仕事のやり方を変えて、使える時間を手に入れることを目的とした書籍です。

①繁忙期対策は、9月から11月で決まる
紙をなくす、ITを導入する、オンラインで仕事をするなど、テレワークを進めることは、繁忙期をなくすことにつながります。
繁忙期をなくすために必要なのは覚悟(②~⑤)、計画(⑥~⑨)、準備(⑩~⑪)です。これらを9月~11月、つまり、繁忙期を迎えるまでに日々取り組んでみましょう。繁忙期を無くすことができれば、効率化スキルも身につきます。11月までが勝負ですので、本書を手に取っていただいたときから一読していただき、改革を進めていきましょう。

②繁忙期をなくすメリットを確認しよう
繁忙期をなくすことのメリットは「落ち着く」ということです。落ち着いて仕事をすることで、仕事の質が上がるものです。
繁忙期があると一件ずつのお客様と向き合って考えることもできなくなります。つまりサービスの質が落ちるという事です。
そして、繁忙期がなければ、思う存分勉強ができます。その勉強こそ、仕事の質を上げるものです。
また自由度がないと、家族が病気になったり、怪我をしたりしたときにも対応できません。大事な人に何かあった時に、繁忙期だからといって駆け付けられないこともよくありません。

③繁忙期がない人生をイメージしよう
12月から5月までの繁忙期がなくなったらどうするか、何をしたいか、それらを言語化しておきましょう。さらにおすすめなのは「繁忙期がなくなったらこれをやろう」ということを、少しでもいいので今からやることです。
繁忙期以外に税理士業を増やす、例えば繁忙期をなくして資産税の仕事をいつでも受けられるようにしておくこともできます。仕事を圧縮しておくことに越したことはないのです。
また人生を楽しむために趣味も作って、その時間を確保するために、全力で繁忙期をなくしましょう。
また、同様に繁忙期前から家族との予定を入れておきましょう。

④繁忙期をなくす覚悟を決めよう
繁忙期をなくすには、営業をして繁忙期以外の売上をまかなうことが必要になります。個人の確定申告や法人12月3月決算を安易に増やすのではなく、営業力を磨いて、繁忙期にならない仕事を増やしていきましょう。断ることもしやすくなります。
また、仕事のやり方を劇的に変えなければいけません。データ入力をしない、ペーパーレスにする、Excelを活用するなどで、10時間かかっていた仕事が30分になる可能性があります。仕事のやり方を変えるという大義名分のもとに、仕事をお断りすることもできます。資料回収では何日までに送ってくださいと伝え、それを受け入れていただけないお客様はお断りするしかありません。つまり仕事を選ばざるを得ないのです。

⑤繁忙期をなくすために繁忙期をなくすためにやめよう
「お客様の都合があるから」といった理由で効率化が進まないと言う方がいますが、繁忙期をお客様のせいにしてはいけません。そのお客様が「資料を出してくださるのが遅い」ときに、ちゃんと声をかけているかが大切なのです。早く声をかけるとお客様に嫌われるのではないか、せっかちと思われるのではないか、そういう思いもあるのでしょう。しかしながら、「いい人」を装うのは良くありません。それで困って、巡り巡って繁忙期という事で、自分やひいてはお客様に返ってくるのです。
「地方だから」という言い訳も同様で、地方だから電話と紙という思い込みはやめましょう。地方でも東京でも自分の軸をはっきりさせなければいけません。
繁忙期をなくす過程で、仕事をする時間が一時的にでも増えるかもしれませんが、仕事をする時間をできる限り増やさないようにしたほうが効率化は進みます。効率化の大原則として、仕事をする時間を増やすことは絶対にやってはいけません。
お客様に過剰サービスしすぎない、外注しない、記帳代行しない、人に会わない、通勤しない、電話を使わない、郵送しない、忙しいと言わない、プリントアウトしない(データチェック鍛錬)ことも効率化につながります。

⑥繁忙期前に計画しよう
昨年の繁忙期の仕事をリストアップし、やめたいものに印をつけましょう。例えばExcelに入れて眺めて「思ったより多い」「次の繁忙時が憂鬱」「この仕事がなければ時間ができる」など感じるでしょうか。
この時にやめる判断で気をつけたいのが「紹介していただいたから」「いい方だから」「昔からの付き合いがあるから」という判断基準にはしないということです。資料がギリギリになる方、税金を減らさないかとおっしゃる方、やっぱりこの経費がありましたと完了後におっしゃる方、こういった方とのやりとりはそれなりに消耗します。感情面と報酬面の両方から判断しましょう。2月が確定申告をするメイン月です、3月ではありません。2月は法人決算があり、28日しかなく、祝日がありますが、2月までにしっかりと準備をし、スキルを磨いておけば、怖がることはありません。1月には確定申告の準備を始め、申告可能なものから順次申告をし少なくともお客さまへ連絡をし、アポをとりましょう。1月は、給与支払報告書、償却資産報告書、法定調書を確実に終わらせますが、1月31日までそれらの仕事に使ってはいけません。

⑦繁忙期前にITに投資しよう
パソコンは買って3年以上経っていたら買い替えましょう。(データ移行が大変で繁忙期に買い替えられないなら9月に買い替えておきましょう。タブレットは、打ち合わせのメモ、読書・情報収集、申告書のチェックに使えます。申告書をPDFで作り、タブレットで開きペンでチェックすると紙を減らせます。

⑨繁忙期を無くすためにスキルを磨こう
ダイビングの練習。ショートカットキー。テキストはひらがなを使いやわらかく。チェックのスピードと精度を上げるためお客様ごとにチェックリストを使う。データインポート・エクスポートのスキルを身につける。ファイル・フォルダの整理。スキマ時間にパソコンで仕事できるようにする。

⑩12月は年末調整を仕上げよう

 

 

 

 

 

  • user 内田
  • time 2023年9月30日
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レビュー『方舟』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

方舟』 講談社 夕木春央

 

夕木春央さんは1993年生れの新進気鋭のミステリー小説作家さん
週刊文春ミステリーベスト10国内部門第1位、MRC大賞2022第1位、という事でおすすめされて読んでみました。

プロローグからなかなか怖い出だしで、人里離れた山中に埋められた地下建築に九人、ここから脱出するためにはだれか一人を犠牲にしないといけない、という記述。

学生時代の友人たちと、主人公の従兄、また見知らぬ家族3人が紛れ込んできている中で、地震や殺人が起こるという恐ろしい状況。
舞台となる方舟(はこぶね)はおそらく数十年前に地下に作られた、ゲリラ団体なのか宗教団体なのかが基地に使っていたであろう施設。
建物施設自体も古く、拷問器具が見つかるなど、不気味な雰囲気がただよいます。

そういった状況で一週間過ごす人の心情というのは想像しがたい一方で、日常の自分たちの心の焦燥も思い返したりします。
そして凄惨な形で起こる連続殺人
見知らぬ家族3人からの告白。

地下建設の中でも発電機があり(電波はつながらなくても)スマホがずっと使えていることも2022年9月発刊ということもあり現代的なミステリー小説と感じました。
意外とそのようなところから事件の内容が判明していきます。

一週間のタイムリミットが迫っていく中で、主人公の従兄-翔太郎が真相に迫っていく姿にかたずを飲みます。

最後の犯人と主人公が通信で話す場面、恐ろしい最後に驚きます。

 

 

 

 

 

  • user 内田
  • time 2023年9月23日
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レビュー『ChatGPT120%活用術』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ChatGPT120%活用術』宝島社  ChatGPTビジネス研究会

2022年11月30日に公開され、史上最速のペースでユーザーを増やし続け、2ヶ月でアクティブユーザー数が1億人に達しましたが、これはTikTokや Instagramの大きく塗り替えました。
ただ、大変高性能な中で、現時点2023年6月時点ではどんな使い方をしても効果的といいにくくコツが必要なため、本書ではコツをいろいろ紹介しています。

●文書の作成
・メールの下書きを作ってもらう
メールに盛り込みたい情報(ex.自分:税理士法人TAPの内田 相手:北洋銀行の山田さん 用件:バンクミーティングの内容)を箇条書きで指示すると文章を記述してくれます。
・アンケートの項目を考える
対象範囲や条件をざっくり指定するだけで簡単作成。(ex.30歳から60歳までの女性を対象に、美容の悩みをテーマにアンケート項目を10個作成してください。)
・ビジネス書類のテンプレートを作成する
貸借対照表、請求書といった一般的なビジネス書類のテンプレートを作成。(ex.貸借対照表の一般的なテンプレートを表形式で作成してください。)
・旅行プランを提案してもらう
行き先・移動手段・日数・途中の観光地名などを伝えればプランを作れる。(ex.税理士で帯広から札幌までバスで旅行したいです。エスコンフィールドを観光する事を中心に、2泊3日の旅行プランを考えてください。)
・文章にリスクがないか確認する
発信する情報を事前にチェックしてもらう。(ex.次の文章に差別的、侮辱的、不適切な表現がないか確認し、適切な表現に修正してください。●●)
・タスクの手順を分解して整理する
はじめて担当する業務などで、手順を表にまとめてもらい、それを叩き台として手順を考えていけば、仕事の流れを把握できるはず。(ex.出張報告書の作成に必要な手順を分解して表形式で表示してください。
・新入社員に対する注意事項を作成する
節電のお願いや経費精算など社内文書を、かなり精度の高いひな形を得られます。(ex.あなたは人事部の責任者です。先日入社した新入社員に対する注意事項を作りたいので、ひな形を作ってください。)

● パソコンの使い方を教えてもらう
・Windowsのタスクバーの色を変更する方法を知る
ex.Windowsでタスクバーの色を変更する方法を教えてください。
・Excelのどの関数を使えばいいかをたずねる
ex.Excelで条件に一致する値の件数を求めたいときに使う関数を教えてください。
・Excelエラーの意味と対処方法を教えてもらう
ex.Excelで操作後にエラーが表示されてしまいました。セルC 1の数式は「=A1✳︎#REF!✳︎B 1」です。理由と対処方法を教えてください。
・Youtube動画にチャプターを付ける
chat GTPと連携してYoutubeにチャプターを自動的に設定し、角チャプターの内容を箇条書きで表示してくれます。

●さらなる使い方
・質問を繰り返して求める回答を得る
追加情報を添えて、方向性を絞り込むような質問を重ねていくといいでしょう。「詳しく」または「簡単に」といった文言を追加することで、回答の内容は大幅に変化します。
・ステップバイステップという言葉を入れる
多数の手順を伴うような複雑なケースで、一つずつわかりやすく説明してくれます。(ex.ABC分析とは何かをステップバイステップで教えてください。)

  • user 内田
  • time 2023年9月16日
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レビュー『税理士はいかにミスと向き合うべきか』

 

 

 

 

 

 

 

 

税理士はいかにミスと向き合うべきか』 清文社 白井一馬(税理士)

税理士業務の中で起こり得る実務上の致命的な判断ミスを防ぐために、税法の基本と趣旨を理解できるよう制度を分析し、失敗事例の実務への活かし方を検討している書籍。

・税理士は有効なアドバイスをしてくれないのか
顧問税理士は何も提案してくれない、有効な投資や経営判断のアドバイスをしてくれないと書かれた書籍を見かけます。
それを読んで微妙に劣等感を持つ税理士は多いのではないでしょうか。
しかし考えてみてください、そういった人たちが勧める投資や節税で失敗した納税者がどれほど多いことか
リスクの高い節税スキームは9つ成功しても1つ失敗したら狂ってしまいます。口うるさい顧問税理士が反対するのでまじめに申告して、税負担が原因で倒産した例など聞いたこともありません。
・税法のプロとしての倫理観
大胆な節税策は上手くいくこともありますし、成功例だけが宣伝されがちです。
失敗するリスクに責任を感じない人たちは容易に勧めてくるでしょう。
しかし、納税者に寄り添う顧問税理士は、失敗するリスクを納税者に負わせるわけにはいきません
無茶な節税を求める顧問先を説得するには税理士には経験が必要です。
人間的な厚みが言葉に力を持たせます。
・怖いのは過大申告
多くの税理士は過少申告を税務調査で指摘されることを不安に思い、ついつい厳しい判断をしてしまいがちですが、追徴課税される本税は、当初申告で正しい処理をしていたとしても支払うべきものですので損害ではありません。
勇気をもった処理と慎重なノミの心臓。
このバランスが求められるのが税理士であり、小さなミスは恐れず実行しましょう。
だからこそ立法趣旨にまでさかのぼる理解ミスが露呈した時の影をいく通りも考えましょう。
致命的な大きなミスを発見するセンサーを養うのは、小さなミスの積み重ねです。
・難しい税法についていけないリスク
消費税の納税義務者の特例や特定新規設立法人、組織再編税制、所得拡大促進税制、財産債務調書、国外財産調書、電子帳簿保存法、など労力を要し、条文も20年前の倍以上になっております。
すべて勉強して記憶すべきなのでしょうか、そうではないのでしょう。
税法が難解になったからこそ基本と立法趣旨にさかのぼる理解が必になり、あの処理には違和感がある、そのようなセンサーが働けばミスは未然に防げます。
センサーが働くのは自分が理解した条文の趣旨に反するからで、そうなればあとはGoogleで調べたらほとんどのことは解決します。
・その他、消費税、事業承継税制、小規模宅地特例、株価圧縮、組織再編税制、役員給与、DESについて事例を検討しています。
  • user 内田
  • time 2023年9月9日
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レビュー『トヨタの会議は30分~GAFAMやBATHにも負けない最速・骨太のビジネスコミュニケーション術~』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トヨタの会議は30分』すばる舎 山本大平

以前にWEBページで、自社の会議に役立てるためにレビューを読みましたが、実際に読んでみました。
●GAFAMやBATHの会議
私は今をときめくGoogle等の企業とも会議をしますが、そうした外資系企業の会議におけるコミュニケーションスピードの速いこと!
参加者それぞれが次に何をするか、いつまでにそれを行うかを明確にして閉めるのが鉄則になっています。
そして必ずその期日を守るのと同時に、ハッキリと意見を言い合います。
業務上の意見の違いを、普段の人間関係に持ち込みません。
●トヨタ自動車は泥臭くそれでいて最速・骨太
GAFAMにも負けないギガ速のコミュニケーションをトヨタは行い、とにかく無駄を嫌う文化を持ち、超大企業なのにPDCAを高速で回し、質実剛健を旨とする社風。
当たり前のことを継続的徹底的に、突き詰めていく文化。
複雑性を増し、予測不可能な現代では、ギガ速で報連相をして、スピーディに意思決定をし、どんどん仕事を前に進めないとアメリカや中国には勝てず、企業には常にイノベーションが求められ変わらなければ淘汰されてしまうのが日本経済の現状です。
●30分会議で2ヶ月分の時間を捻出
日本企業では会議の時間として1時間を設定することが多いですがトヨタのようにほとんどの会議は30分で設定し終わらせられます。年間の会議数を600回とすると300時間、およそ2ヶ月の労働時間を圧縮できます。議論が白熱すれば30分では足りなくなることもあり延長することもありましたが、30分までで、それ以上に時間がかかりそうな時には別の会議を設定する。この延長時間を確保するため、会議の予定は立て続けに入れず、最低30分は間を空けて入れる事になっていました。
●30分で終えるための事前の準備
関係者には、前もってその会議で何を話し合うのか「議題(アジェンダ)」を周知しないといけません。
それも漠然とした大きすぎる議題ではなく、ある程度は具体的な「解像度の高い議題」を事前共有することが求められます。
議題の共有だけあれば、あとは各参加者が議題に沿って、必要な情報や資料をそれまでの仕事の文脈から勝手に推測して用意してくれるのです。
「ネクスト会議」では、前回の会議や打ち合わせ以後に各参加者が動いた結果の情報交換から始まり、その後にいきなりブレストや意見交換になるというケースが多く、そのために会議の最後には「次は何を打ち合わせるか」を決めて終わらなければなりません。
●なぜを5回繰り返すのはなぜか?
トヨタといえば「なぜを5回繰り返す会社」としても有名ですが、あらゆる事柄について疑問を持ち、自ら考えるように訓練されます。
標準化されたルールですら自分で考えて、その本質を理解しないといけない会社です。
答えは決して教えてくれません。
むしろ答えは人それぞれだから、別にして明確な答えは必要ない、それでも考えることが大切なんだ、という訓練法が大切なんだ、という訓練法が共通化されています。

 

  • user 内田
  • time 2023年9月2日
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レビュー『キーエンス解剖』

 

 

 

 

 

 

 

 

キーエンス解剖 最強企業のメカニズム

色々なところで聞く最強企業-キーエンス。
制御機器大手のキーエンスは、粗利益率は80%、営業利益率も50%、時価総額も日本で五本の指に入る、国内屈指の高収益体質です。
このような業績を生み出す競合企業との大きな違いは、「当たり前のことを徹底的に行うこと」「スピード」「止まらないこと」
興味がありこちらの本を読んでみました。

キーエンスの社員は「とにかくめちゃくちゃ働く」といわれる。その激務ぶりは「30代で家が建ち、40代で墓が建つ」と表現されることもある。あるOBは「あそこは仕組みと、それをやり切る風土がすごいんです。後輩の指導もしっかりする。人が育たないわけがない」と言う。

「待ち」の姿勢ではなく先へ先へとさまざまな想定をして顧客に伴走し、顧客の仕事のサイクルを回す。顧客の潜在ニーズを具現化して顧客の仕事のスピードを上げ、質を高める。いずれもキーエンスの社員への取材で出てきた話だ。

「自分はカリスマではない」。キーエンスOBたちは、創業者の滝崎武光氏が1980年代にこう口にしていたことを覚えている。モチベーションを高く保てる社風などは「属人化を極力排除したい」という考え方が根底にある。
滝崎は2003年のインタビューでこう語っている。「カリスマというと、全て自分で決裁するというイメージがありますよね。そうではなくて、権限を委譲して、考え方を伝えて現場と一緒に考えていかないと、いいアイデアは生まれない」。そのため滝崎は「創業当時から自分がいなくても会社が回るように、ずっと考えてきました」という。

キーエンスの仕事の仕方や仕組み
外報」:外出報告書にその日の行動を詳細に描き込み、その日のうちに上司と反省会を開く。誰とどんなやりとりをしたのか。訪問前日に練った戦略をもとに、どういった展開になったのかを報告する。その報告を元に、上司からどうすれば良かったか、アドバイスを受ける。こうした動作を毎日繰り返す。成約に至るまでに何回プレゼンテーションをしたか。プレゼンまでに納入先の担当者に何回会い、電話は何回かけたかーー。営業担当者がなすべき行動は徹底的に数値化される。過去の社員たちの実績がすべてデータベース化されているので、売れない人に何が足りないのかは数値でわかる。
ロープレ」:上司や部下、同僚と2人1組で実施する、顧客との商談シミュレーション。ロープレを実施するのは、新製品発表前などの特別なタイミングだけではない。10~15 分ほどで手短に、だが毎日のように繰り返すのがキーエンス流。まるで歯を磨くように、当たり前にやる。短時間であっても、毎日のように繰り返せば「筋トレ」のように効いてくる。それが、どんな顧客とも当たり前のように高い水準で商談をこなす足腰となる。新人の訓練としてだけではなく、ベテランであっても、週に何回もやっている》し、しかも、ロープレには販売促進部門がつくる細かい「台本」も用意されている。
内部監査」:「予告なしで突然うわーっと人が入ってくる。マルサみたいに。完全に抜き打ちですよ。」あるOBがこう話すのが社内の風紀委員ともいえるチームが実施する内部監査の事。キーエンスの社風には「嘘をついた人が得をすることをものすごく嫌う」というものがあり、嘘が無いかを厳しくチェックすることは、正直にやっている人を正しく評価することの裏返しでもある。

これらの仕組みは作ったら、その仕組みが役立つように本気で運用を徹底するという、「最後の数センチメートル」に差がある。一言でいえば手を抜かない。そして、全員がそれをやる。「当たり前のことを当たり前にやる」ーキーエンスの社員やOBはよくこう表現するが、この当たり前の設定値と徹底度が高い。

なぜ徹底できるのか。キーエンスの仕組みは「人は油断することもあるし、楽をしたいと考えるものだ」という”性弱説”に基づいている。だから、社員が何をしているのかをガラス張りにして、いい数字も悪い数字も見せる。やるべきことを、手を抜かずにやり切ってもらうためだ。それをキーエンスの人たちは明るく、楽しそうに仕事をしていた。それは、なぜそうしなければならないかという理屈を、透明性納得感のあるものにしているからだろう。いい結果につながると納得すれば、多くの人はそのための行動を自然に増やすはずだ。

キーエンスで学んだ哲学や経営手法を広げていくのは、キーエンスOBたちも同じだ。「製販一体で動くことの重要さをキーエンスで学んだ」。製造業向けの動画やECのオンラインプラットフォームを手掛けるアペルザ(横浜市)の石原誠社長は、こう力を籠める。特に重視しているのが、キーエンスが直接販売で実現していた「製販一体」の価値だ。商品のことをよく知っている営業が顧客のコンサルティングをしながら、ニーズの裏にあるニーズを探る。企画や開発はその情報を活かしつつ、顧客に提供する付加価値も最も大きくすることを追求した商品を開発していく。それが高い利益率の源泉になっていた。

  • user 内田
  • time 2023年8月19日
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