【法人税】会社の役員報酬の適正額とは?
記事投稿日(2017 年 4 月 12 日)
会社法では「報酬等」の定義を、一方、法人税法では「役員給与」
の考え方と取り扱いを定めていますが、
役員報酬の適正額はどう考えるべきなのか、まとめてみたいと思います。
(1)会社法の考え方
取締役のお手盛り支給を禁じており、その報酬等の内容については、
定款の定め又は株主総会の決議によって定めることにしています。
(2)法人税法の考え方
退職給与を除く役員給与について、法人税法が定めている定期
同額給与・事前確定届出給与及び利益連動給与以外の給与の
額を損金不算入としています。
さらに定期同額給与等に該当するものであっても、
不相当に高額であるとされる部分は、損金不算入としています。
(3)「不相当に高額」の判断
政令で定められており、その判断材料は、
①その役員の職務の内容
②その法人の収益及びその使用人に対する給与の支給状況
③類似法人(その法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するもの)の役員に対する給与の支給状況等
の三本柱になっています。
(4)実務上の判断
適正額の実質判断においては、(3)③の判断基準によるところが
最も多い所です。
但し、この場合類似法人の選定は、もっぱら課庁サイドでないと
わからない部分であり、
さらには、その数社の類似法人の平均額によって適正額を判定
すべきかという問題も生じます。
(5)裁判例
過去の裁判の実例では、平均額の2.5倍を超えていて過大である
と認定された事例(名古屋地裁平成8年3月27日判決)や、
類似法人の最高支給額を超えていて最大であるとされた例
(東京地裁平成28年4月22日判決)もあります。
したがって、その適正額の判定は難解でありますが、会社としては、
その役員報酬の算出根拠を明確に説明できるようにしておくべきでしょう。